第23回日本ヘリコバクター学会学術集会にあたって

第23回日本ヘリコバクター学会学術集会 会長 加藤 元嗣 (国立病院機構函館病院 院長)

 この度、第23回日本ヘリコバクター学会学術集会会長を拝命しました。本学術集会は平成29年6月30日金曜日から7月2日日曜日の3日間の会期で、函館市の函館アリーナで開催します。最初の2日間は通常の学術集会を行い、最終日の午前中に認定医教育講演とH. pylori(ピロリ菌)感染症認定医試験、午後に市民公開講座を予定しています。
 23回を重ねる本学術集会の会長を務めるに当たり、大変光栄であると同時に非常に身の引き締まる思いでおります。本学術集会には第1回から参加しており、沢山の楽しい思い出とともにわが国におけるH. pylori研究や診療の発展を肌で感じてきたことは何よりも代えがたい喜びでもあります。また、浅香正博会長のもと札幌で行われた第4回学術集会では事務局として大会の運営に携わったことは貴重な経験となりました。是非、これまでの感謝の気持ちを持って、本学術集会へ参加する皆様を歓迎したいと思っております。
 H. pylori 感染者が急激に減少してきている中で、胃癌死亡者数はようやく5万人を切ってきましたが、まだまだ十分ではありません。わが国の胃癌死撲滅には、H. pylori診療が重要なポイントとなります。また、感染者撲滅には中高校生への対策も不可欠です。さらには、ポスト除菌時代を見据えて、H. pylori除菌後の経過観察の最適なあり方を決める必要があります。これからも本学会の使命として、わが国の胃癌予防対策の推進力とならなければなりません。
 本学術集会のテーマである「学びてのち足らざるを知る」は、幕末から明治維新と時代に翻弄された榎本武揚が五経の礼記から引用した言葉です。1854年に日米和親条約の締結により、江戸幕府は最初に箱館を開港しました。また、鳥羽・伏見の戦いから始まった戊辰戦争は箱館戦争で終結します。武士社会が終焉を迎えた函館の地で、ピロリ時代にピリオドを打ちたいと考えています。
 2016年3月に北海道新幹線が開通し、観光地函館にも活気が戻ってきました。函館は市町村の魅力度ランキング調査で1位にランクインする都市で、函館山からの夜景を筆頭に、ミシュランで一つ星以上の星が付いている観光地が市内に21あります。また、会場の函館アリーナから徒歩圏内に道南最大の湯の川温泉街があります。真イカは6月から解禁となっており、名物の新鮮なイカ刺しが堪能できます。函館は魅力的な街ですので、是非、多くの方の参加をお待ち申し上げております。